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「倚らば大樹」‐(35)

「堂々とした街路樹」のある都市景観は、、、

写真はホノルルの住宅地―堂々とした街路樹のあるその目抜き通りの風景です。車道中央と両側の歩道に植樹帯があって三列の大木が自然と共存する「都市景観」を作っています。この写真を見るとヤッパリ南国の樹種と天気に恵まれるとチガウナーと思ってしまうのですが、必ずしもそればかりではないらしいのです。
たとえば大阪のシンボルと言われる御堂筋のイチョウ並木がありますが「堂々たる」状態かと言うと実はそうとも言えないようなのです。どこが?。御堂筋のイチョウはかなり「貧弱な」状態になっているのだそうです。進行方向に見ると沢山の幹が重なってケッコウ豊富なミドリに見えるのですが、よく見ると一本一本は痩せて充分に成長していない状態にとどまっていると言います。結果的に「実」も立派とは言えない、、、。原因は地面下の過密状態らしいのです。
歩道の樹列のすぐ車道側には排水溝があります。
宅地側には多くの場合、上水・電気・ガスなどの共同溝が地下を占領しているらしく宅地側には余地がありません。仕方なくイチョウの根は排水溝下を車道側へはり出して行くのですがそこでは絶え間なく「車両」に踏みつけられます。自動車が通過するとその下の根は痛めつけられる、、、となかなか思いつかないのですが実際は根にとってかなり不都合な状況のようです。
 結局、堂々たる「樹蔭景観」を作ろうとするならば、樹木が根を張るに充分な余地を確保し、地表面を舗装したりせず呼吸出来る通気面を取っておかなければならない、、、。都市で大樹が共存すると言う事は実はなかなか手間のかかる事らしいのです。

2015/02/27