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「椅らば大樹」-(5)

阿倍晴明神社のご神木

生命科学・地球学の竹村真一氏の記述に
「樹は立ち上がった水だ、と言う表現がある。
夜、実体としての木々が姿を消した真っ暗な樹林で、もし樹々の内部を流れる水だけが蛍光を発して浮き出てきたとしたら、ぼーっと立ち上がった、ゆるやかに踊る水柱の群れが、さぞ美しいことだろう。、、、、 
春先などは特に、樹木の太い幹に耳をあててみると、そのなかをゴボゴボと勢いよく地下の水が立ち昇っているさまが手にとるようにわかる。、、、、
そして螺旋を描いて舞い踊り、重力に抗して昇華された水の運動が文字通り「花」となってそこらじゅうで咲き乱れ、また甘い樹液となってほとばしり出る。樹木が星の動きや季節のうつろいに呼応して生命のリズムを刻んでいるということが、最もリアルに経験できる瞬間だ。」(「宇宙樹」慶応義塾大学出版会)

樹木は宇宙の「時」のなかに組み込まれた生命の姿を最も端的に映し出しているのかもしれない。古来、私たちの生活空間に鎮座してきた「ご神木」とはまさにそのようなものだったのだろう。

2008/12/31


大木大好きさん

阿倍晴明神社へ行って、ご神木を拝んで来ました。本当に水の流れる音が聞こえるのかなと思い、幹に耳をあてようとしましたが、木の周りを柵で囲ってあるので無理でした。代わりに、通りがかった天下茶屋跡楠の大木に耳をあてると、かすかに「シャー」という音が聞こえたような気がします。感動的で、気持ちがワクワクしました。春になったら、サクラやブナの音をしっかりと聞きたいと思います。

2009/01/28