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「倚らば大樹」-(19)

樹下のDNA

釈尊の冥想、ご修行のお話には「樹下」と言う言葉がしばしば登場いたします。よく知られているようにそのお悟りはアシュバッタ樹の「樹下」であったとされていて、以来この樹は「悟り」の樹、ボーディの樹、「菩提樹」と呼ばれるにいたりました。そればかりでなく、お誕生はアショーカ樹の下だったといわれておりますし、少年時代の最初の冥想はジャンプ樹の下。お悟りのきっかけの女性スジャータとの出会いはニャグローダ樹の下、、、といったぐあいです。

生活空間における森や山や木の意味が大きく変わってしまった今日の日本においても、「樹下」、とくに大木の樹下には特別のエネルギーと意味が隠されているように思われてなりません。古く大きな樹木はそれだけで神的な存在と感じられますし、事実、近くに神社が祀られていたりもします。神社の横にご神木ができるのか、ご神木にあわせて社が祀られるのか、、、。そのように感じる感性を大切なもの、貴重なDNA、生活空間の基本の骨組みとすべき、、、そんな思いが湧いてきます。

 写真は徳島の山あいの村。鎮守の森みたいな神社で撮ったもの。

2010/03/27