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「倚らば大樹」-(2)

野間の大ケヤキ

阪急川西―能勢電鉄終点の妙見口駅から北へ数キロ「野間稲地」の交差点脇にこの大ケヤキがあります。枝張り45m、高さ30m、目の高さでの幹周り約11m。樹齢約1000年、国の天然記念物「野間の大けやき」です。
言い伝えでは500m離れた隣の集落まで根が伸びているとされ、野間神社のご神木、毎年の豊凶を占う御神体とされていますが、かつてわが国の自然環境はそこいら中にこのような巨木が鬱蒼とはびこる巨木の神国だったのではないでしょうか。最初に稲作のための開墾によって、次に大規模建築用材としての伐採によって、そして近年の住宅地開発によって、巨木の神国は今や絶滅に瀕しています。平成元年に中央部が枯れて空洞化し、その処置中に火災が発生したそうです。その為か写真手前は山の水を利用した沼地的な庭園(ビオトープ)が造作されていて老木の保全に最大限の配慮かと思われました。
道路沿いの樹下にはまさしく「椅らば大樹」と言う事でしょうかベンチとテーブルが数台配置され、しばし樹下のひと時をお過ごしください、、、となっておりました。樹下に坐すと風の音が聞こえます。小鳥の声、虫の声、、、そして地の神々の息づかいが伝わってくるようです。そうか、私達の大地は木の大地、そして巨木の神国の一画であったのか、、、そんな声なき声が聞こえてくるのです。

2008/09/16