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「倚らば大樹」-(30)

戸津八幡宮のご神木―京都八幡市戸津

この辺りは石清水八幡宮が有名であることから「八幡市」となっていますが、最近までは「京都府綴喜郡八幡町」とかなりの田舎風地名に大字○○小字○○までついたスコブル付きの田舎でした。
私はこの場所から遠くないさるお寺の別院に6年間厄介になっていたことがあります。この草庵は慶応4年鳥羽・伏見の合戦の折りに兵火をこうむって半焼したものを取り敢えず修繕して住めるようにしたというイワク付きのもの。ネズミが天井を走り、それを追うヘビも何匹か住みついている様子でした。
鳥羽伏見開戦前に石清水の八幡大神は田辺方面へ避難遷座されたと言います。ところが幕府軍敗退によってただちに石清水へ帰還すべしとなって急遽帰路につく間、休憩したのがそれまで小さな産土神の祠のあった当地であったと言います。以来、石清水の八幡大神を拝することのできる神社として今日に至ったと言うのが由緒になっているようです。
「ご神木」は今や堂々たる貫録で聳えたっていますが由緒からすると150年前の発祥のようです。この神社はその時の戦闘をきっかけにして歴史を紡ぎ始めています。私は同じ戦闘を経た別院の草庵で6年間居候しました。それだけのことでこのご神木と私は同じ釜の飯を食ったナカマ!そんな親近感を覚えるご神木です。

2012/06/08