バックナンバー

「倚らば大樹」-(29)

一心寺写経堂脇のハンカチの木

一心寺前の25号線北向かいにある写経堂の緑地の中に小さなハンカチの木があります。ここ3年前あたりからこの季節に花が咲くようになって花愛好の参詣の方々に見て頂いてたのですが、昨年夏に木の半分の幹にテッポウムシが入り込み、幹の中を食い荒らしてしまいました。食われた木の半分の葉が妙に小さいことからオカシイ!となって気がつき、急きょ薬を注入して現在はまだ完治にいたらぬ半病状態ですが、それにもかかわらずか、それゆえにこそか、わかりませんが痩せた半分の方だけに昨年以上の花を咲かせています。ヒョッとするとこのまま枯れてしまう恐れもあり、記録にとどめる事にしました。
 写真の足元にボケて写っているのは2014年に竣工すると日本一高い300メートルとなる「あべのハルカス」ビルです。この時点では170メートルを超えたところですから、それまでこの木が生き残れば現在工事中の倍近い高さになってこの木の巨大な背景になることでしょう。ちなみにこの大阪のシンボルになるであろう超高層ビルはマレーシア・クアラルンプルで有名な世界最高の高さ「ペトロナスツインタワー」、大阪では「大阪歴史博物館(NHK)」でおなじみの建築家シーザー・ペリーの設計です。有名建築家のデザインは良いとしても、これまで歴史と文化、言い換えれば住み心地優先の環境空間に航空母艦がすえつけられた様な、あるいは古い市街地に大陸間弾道ミサイル発射基地が構築されたような、、、とにかく場違いな巨人が佇立して立ちはだかり始めた、、、。そんな感じがします。ハンカチの花をはじめ、いろいろな既存文化がこの巨人の登場で死に絶えなくばよいが、、、。そんな気配の写真になりました。

2012/05/02