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「倚らば大樹」-(26)

ヤシの木陰

昔の歌に「酋長の娘」と言うのがありました。その中に「ヤシの木陰でテクテク踊る、、、」と言うクダリがありましたが実際「ヤシの木陰」に出会ってみるとハテ?と言う気になります。写真は戦前(太平洋戦争)に開発されたというハワイの一般的な住宅地で、規則では平屋一戸建て住宅を道路から5m以上さげて建てる、つまり日本式に言えば「第一種住居専用地区」、あるいは風致地区といった場所の風景です。
サテここに問題の「ヤシの木陰」があるにはありますが、どう見ても無きにひとしい、、木陰で踊るような陰がありません。当然ヤシの実が年2回なるのだそうですが放置すると思わぬ時に10m以上の高さから道路に落下して危険。「落ち葉」ですらドシンと来て危険とあって、ヤシをヤシなっているお家には近隣から葉刈りと実の早期回収のリクエストが厳しいのだそうです。事故が起こった時には当然賠償責任が要求されるそうです。葉と実を早期に回収するためには年2回プロに頼むしかなく結構モノイリ。ではヤメにして撤去しようかとなると、それはそれで「ハワイらしさ」、風情が無くなると反対のリクエストが来るのだそうです。
言うなれば「風景」であっても、オシャレ、ファションと同じくお金がかかる。維持管理には責任がついてくる。日本の伝統にある
風景の「タダ見」とも言える「借景」はなかなか難しいと言う、、、
ことのようです。それにしても庭のヤシの木、、、というのは一体何のために植えるのでしょうかねー。

2012/02/28